江戸の人口が急増し、100万都市なった頃、幕府が食事を二食に厳守するように令を出しています。とはいっても当時の米の収穫量は少なく一日三食の食事形態が一般化するのは幕末のことですから、米の足りない分をムギやヒエ、アワ、キビなどの雑穀やイモ、ダイコンなどの根菜類をおぎなって食べる工夫をしていました。その代表的な食事が「糅飯(かてめし)と雑炊(ぞうすい)」でした。
「糅飯(かてめし)」は、少量の米にムギや雑穀類を混ぜて炊いた食事で、「雑炊(ぞうすい)」は糅飯を汁で薄めた食事で、これが主食だったのです。
こうした食習慣は昭和20年頃まで続いており、人口の70%以上が「糅飯」でしたから現代の栄養学で1977年に「合衆国の食事の目標」とされた「マクガバン・レポート」の理想の健康食だったのです。21世紀に入って雑穀がスーパーフードとして注目され、「糅飯や雑炊」も再登場し“食の先祖返り”として理に適った食生活ではないでしょうか。