日本の総白米食の歴史は50年ほどなのだそうです。それ以前は米に麦やあわ、きび、ひえ、大豆やさつま芋、じゃが芋、大根などを混ぜて炊いた「かて飯」が日常食でした。
奈良時代の「古事記」では五穀は、米、麦、栗、大豆、小豆とあり、江戸時代の「本朝食鑑」では、稲、大麦、小麦、大豆、小豆あるいは麦、きび、米、栗、大豆とあり、これらの五穀によって民が養われていると書かれています。当時は穀類、豆類という分類はなく健康を維持するためベストな組み合わせでした。
人気のあったのは栗やきびで作った餅やだんごで、黄色い仕上がりが喜ばれスイーツ感覚もあり、穀物でカロリーを補い、大豆でたんぱく質、小豆でビタミンや抗酸化成分を補う食材で栄養学的にも理想の健康食だったことがわかります。100万人都市、江戸のバイタリティーを支えていたのは、雑穀食文化です。豊食が飽食や崩食といわれる時代ですが、今こそ雑穀食を見直したいものです。