あわの原産地は中央〜東部アジアとされ、すでに石器時代には栽培されており、シベリア、オーストリアを経てヨーロッパへ渡ったようで、古い遺跡からはあわが出土しています。
日本には朝鮮を経て渡来。縄文時代にはすでに栽培され、きび、ひえと並んで我が国最古の作物。稲の伝来以前の主食であったと見られています。
この、あわの野生種はエノコグサ。通称ねこじゃらしですから、意外と身近な雑穀ですね。
古事記では、五穀として稲、あわ、小豆、麦、大豆が記され、日本書紀には四神出生の段で稲を除いた4つの総称を“陸田種子(はたつもの)”とし、雑穀の定義をしています。
江戸時代には本朝食鑑に、「うるちあわは大衆の常食で、もちあわは上流階級の食べ物」と記されています。明治の始めまで米よりもあわの栽培量の方が多かったそうです。あわの名は味が淡い事が由来とされています。
道ばたで頭を垂れるねこじゃらしがあわの野生種と思うと愛しくなります。